特殊片口ハサミゲージ製作事例|狭部測定を可能にするテーパー構造と高精度仕上げ
片口ハサミゲージの特殊設計(薄肉テーパー+ラップ仕上)で干渉回避と高精度検査を両立
特殊片口ハサミゲージの課題解決事例
本日出荷した製品の中から、『狭部測定』という難題に対応したハサミゲージの事例をご紹介します。
製品仕様(特殊片口ハサミゲージ)
・品名:『特殊片口ハサミゲージ』
・形状:外径85x85xT5
・測定部:31.9±0.1(角型・片口構造)
・仕上:▽▽▽+▽▽▽▽(FL)
・材質:SKS3
・表面処理:防錆黒染め
・熱処理:焼入れ焼き戻しサブゼロ処理(HRC60以上)
・購入品類:なし
・設計:お客様
・個数:1
・当社製造番号:26-00499
ハサミゲージとは|片口と両口の違い
ハサミゲージには大きく2種類あります。
片口ハサミゲージ
・入口側が『通り』
・奥側が『止まり』の2段構造
・そのまま押し込むことで検査が完結
両口ハサミゲージ
・片側が『通り』、反対側が『止まり』
・180°回転させる必要がある
つまり、
『奥行きに余裕がある場合は片口』
『奥行き制約がある場合は両口』
という使い分けが基本になります。
今回の課題|狭部・奥部での干渉問題
今回の測定対象は、
・測定部が狭い
・溝の奥に存在する
という特徴があり、
『通常の厚みT5のままでは干渉してしまう』
という課題がありました。
解決策|薄肉テーパー構造による干渉回避
先端1mmまで絞るテーパー構造
本ゲージは『特殊仕様』として、
・全厚T5 → 先端T1
・両側から約15°のテーパー
という形状を採用しています。
イメージとしては、
『滑り台のように薄くなる構造』
です。
これにより、
・狭い箇所へのアクセス性向上
・測定部への干渉防止
を実現しています。
段差構造ではなくテーパーを選択した理由
設計上は、
『T5 → T1の段付き構造』
も選択可能でした。
しかし今回は、
・スムーズな挿入性
・接触時の安定性
を考慮し、
『連続テーパー構造』
を採用しています。
加工技術|テーパー部も研削仕上げ
このテーパー部は単なる逃げではなく、
『製品に接触する可能性がある機能面』
として設計されています。
そのため、
・15°テーパー部:研削加工(面粗度1.6Z)
・先端R0.5部:研削+ラッピング仕上
を実施しています。
特に先端部は、
・厚み1mm
・R0.5形状
という非常にデリケートな部位であり、
『形状精度と面粗度の両立』
が求められます。
業界背景|ハサミゲージ製作の難しさ
近年、
『ハサミゲージを製作できるメーカーは減少傾向』
にあります。
理由は明確で、
・要求精度が高い
・加工工数が多い(手間がかかる)
・価格競争が厳しい
つまり、
『採算が合いにくい製品』
であるためです。
さらに今回のような、『特殊形状+高精度』となると、対応できる企業は極めて限られます。
まとめ|干渉回避×高精度を両立する設計力
今回の事例のポイントは、
・測定環境に合わせた形状最適化
・テーパー構造による干渉回避
・機能面としての高精度仕上げ
です。
『実際の使用シーンを前提とした設計・加工』が、最終的な品質を大きく左右します。
FAQ(よくある質問)
Q1.片口ハサミゲージと両口ハサミゲージの違いは何ですか?
A1.片口は1方向の挿入で通り・止まりを確認できる構造、両口は回転して両側から確認する構造です。使用環境の奥行き制約によって使い分けます。
Q2.なぜテーパー構造にするのですか?
A2.狭い場所や奥まった測定箇所で干渉を防ぐためです。段差ではなくテーパーにすることで、挿入性と安定性(剛性UP)が向上します。
Q3.テーパー部にも研削加工が必要な理由は?
A3.製品に接触する可能性があるため、面粗度と精度を確保し、測定誤差やキズを防ぐためです。
Q4.ハサミゲージの製作が難しい理由は?
A4.高精度・高硬度材・複雑形状が要求される一方で、価格競争が厳しく、採算が取りにくいため対応できるメーカーが限られます。
Q5.特殊形状のゲージも対応できますか?
A5.はい。測定環境や用途に応じたオーダーメイド設計・加工が可能です。
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