球面加工は特殊加工

当社のホームページや展示会に出展した時に相談をいただくことが多いものの一つに球面加工(球面ゲージ、球面模範、球面マスター、球面当たり確認ゲージ)があります。

自動車部品や産業用部品において、2つのパーツが摺動しあうときに、球面形状を利用して摺動させる機構は少なからず存在します。このような量産加工をされているメーカーさんは、球面加工に興味をもってくれます。

球面加工は、どこでもできるような加工方法ではありません。
当社は40年以上前から球面加工に取り組んできました。

ツールホール、ツールボール

ツールボール(設計製作)渡辺精密工業製

これは、機械加工(例:マシニングセンター等)を行うときの加工原点として基準として用いられるツールです。

二次元加工の場合は、ツールホール(T/H)を用いますが、角度を振り回すような加工(三次元加工とか五軸MCによる加工)の場合は、加工物をテーブル上で角度を付けてしまうと、ツールホールにアクセスすることができなくなります。そのときに、ツールホールにこのツールボールを立てて芯出しに利用します。角度を振って使用するため、真球度と鍔下から球面中心までの精度保証が必要になります。

球面マスター

球面マスター(上)設計製作 渡辺精密工業製

球面形状を持つ自動車部品の代表例、デフケース。そのデフケースのゲージ用の球面マスターです。
球面に円筒形状が同芯で加工されており、その同芯度と円筒下面(底面)と球面中心の寸法がミクロン単位で製作されています。
高度な加工技術が求められるマスターです。

球面当たり模範 球面当たりゲージ

上記は球面の形(外観形状)を使う球面模範です。
凹形状側は、点検具です。凸形状(ローレットシャフトがついたもの)側に光明丹を塗り、被測定物にこすりつけて、どれくらいの光明丹が相手に転写されるかを確認するためのものです。
凸形状の球面模範を被測定物に擦り続けると(検査し続けると)、球面模範自体が摩耗により形状崩れが発生してきます。形状が崩れていないかを凹形状の点検具で確認します。確認方法は、おなじく光明丹を用います。球面模範(凸形状)に光明丹を塗布し、点検具に当てつけて、光明丹の転写具合を確認し、摩耗していないことを確認します。
摩耗により球面模範が使用できなくなった場合は、点検具をもちいて、この点検具にぴったりフィットする球面模範を再現製作します。
このような技術力を持つ精密加工メーカーは非常に少ないです。

球面測定子

球面測定子(設計製作)渡辺精密工業製

球面加工は、測定子にも活用されます。上記は歯車を測定するための測定子です。
例えば、インボリュートスプライン緒元には、ボール径(もしくはピン径)項目があります。従って、歯車を測定するときには、諸元で指定されたボール径の測定子を使用する必要があります。このボール径諸元に従い、当社で設計製作したものが上記写真の測定子です。

軸付き球面形状

パチンコの玉、ベアリング内部に入っているボールなど、丸い形状単体で存在するものも世の中に沢山あります。当社は、そのような”まん丸”形状の品物を製作することは残念ながらできません。
しかし、”まん丸”のボール形状の球面を製作するメーカは、逆に、軸付きの球面加工を行うことはできません。製作する工作機械が異なるからです。

軸付き形状の球面加工に課題がある場合は、ぜひ、当社にご連絡をお願いいたします。

球面加工のご相談は渡辺精密工業へ

渡辺精密工業に球面加工の相談をするときはこちら ==> https://wsl-g.co.jp/contact/

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